村上春樹原作、濱口竜介監督の映画「ドライブ・マイ・カー」（2021年夏、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー）のメインキャストが決定。主演を実力派俳優・西島秀俊が務めることになった。クランクアップした監督・キャストからのコメントも届いた。

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　本作は、監督作「寝ても覚めても」、黒沢清監督「スパイの妻＜劇場版＞」では脚本も担当した気鋭・濱口監督の最新長編作。村上春樹の同名短編小説にほれ込み監督自ら映画化を熱望、脚本も手掛ける意欲作となっている。妻を失い、喪失感のなかで生きる舞台俳優の家福（かふく）と、寡黙な専属ドライバーみさき。愛車サーブを通して出会った孤独な2人が、一筋の希望にたどり着くまでを描く、心揺さぶる物語だ。

　主演の西島。これまで数多くの作品で難役を演じてきたが、本作で愛する妻を失った舞台俳優の家福役に挑む。喪失を抱えながら希望へと一歩を踏み出していく、主人公の心の機微をどのように演じるのか。

　ヒロインみさき役には、多彩な才能で注目を集める女優・三浦透子に決まった。「天気の子」では、RADWIMPSによる主題歌でボーカリストとして参加。NHK紅白歌合戦で歌声を披露するなど歌手としても活躍している。本作では、主人公・家福の愛車を運転する、寡黙でありながら芯のあるドライバーみさき役を演じる。実際に、サーブを運転している姿にも注目だ。

　さらに、物語を大きく動かすキーパーソンの俳優・高槻役には岡田将生。秘密を抱えたままこの世を去る家福の妻・音役を「運命じゃない人」、「ノルウェイの森」の霧島れいかが演じる。

　西島は「村上春樹さんの短編を濱口竜介監督が映画化する。その話を聞いた時、非常に興奮しました」と感想を口にし、「初めてご一緒した濱口監督の演出は新鮮で、撮影を重ねる度に新たな発見がありました。美しいロケーションのもと、スタッフ、国を超えて集まったキャスト一丸となって挑んだ作品です。是非完成を楽しみにお待ち下さい」とコメントした。

　三浦は「私が演じたみさきという女性は、自分の足で立って、仕事をして生きていく覚悟のある人です。彼女の姿勢から、私はたくさんのことを学びました」と役柄について語った。岡田は「僕にとってこの現場は忘れられない、忘れたくない現場になりました。この役と出会いこの映画に出会えたことは今後の自分にとって財産になりました」と言葉に力を込め、霧島は「撮影現場の雰囲気もとても良く、監督とスタッフの間に一体感が生まれ、その中に赤いサーブが重なったあの感動的な光景は、今でも忘れられません」と振り返った。

　濱口監督にとって、短編小説「ドライブ・マイ・カー」は、初出の雑誌掲載で読んだ時から、強く心ひかれるものがあったという。「こうして映画が完成間近とお伝えできる運びとなり、たとえ大げさであっても、それは自分にとって運命的な出会いであったと言いたくなります」と感慨深げ。そのうえで、「主人公・家福役の西島秀俊さんを初めとして、三浦透子さん、霧島れいかさん、そして岡田将生さんと仕事をする機会をいただけたのも、村上作品を映像化する上で、最高の幸運でした。カメラの後ろからキャスト全員の演技に驚き続けた撮影を経て、改めて多くの出会いに恵まれた幸運と、幸福を強く感じています」とコメントを寄せた。