「香水のせいだよ」路上ライブで心折れた無名のシンガー、瑛人の逆転人生

「君のドルチェ&ガッバーナ♪」……子どもからお年寄りまで世代を超えて口ずさめる2020年を代表する歌「香水」。作ったのは、言わずと知れたシンガーソングライターの瑛人(えいと)だ。地元の小さなライブハウスで歌っていた無名のシンガーが、わずか7か月で紅白歌合戦の切符をつかむという快挙。そんな魔法のような曲「香水」は、彼の人生をどう変えたのか?

怒涛の2020年を振り返ってくれた瑛人【写真:本多元】
怒涛の2020年を振り返ってくれた瑛人【写真:本多元】

「心折れそう横浜路上 聴いてくれる人が神様」

「君のドルチェ&ガッバーナ♪」……子どもからお年寄りまで世代を超えて口ずさめる2020年を代表する歌「香水」。作ったのは、言わずと知れたシンガーソングライターの瑛人(えいと)だ。地元の小さなライブハウスで歌っていた無名のシンガーが、わずか7か月で紅白歌合戦の切符をつかむという快挙。そんな魔法のような曲「香水」は、彼の人生をどう変えたのか?(取材・文=福嶋剛)

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 瑛人を知りたければ、彼のツイッターを見るのが1番早い。今でも共に活動する仲間たちとの青春の日々が刻まれた10代のつぶやきから現在までの記録(タイムライン=TL)がしっかりと残されている。早速ターニングポイントとなったツイートを取り上げながら、彼の「一期一会」を振り返ってみよう。

――瑛人さんの2020年をツイッターでチェックしていたところ、16歳の頃の投稿が面白くて。これを見ていたらギターの小野寺淳之介さんやダンサーのKANさんなど現在の仲間とのつながりがよくわかって。

「そうなんですね。(当時のツイートを見ながら)あっ、これ懐かしいですね(笑)」

――気になった投稿を2つ見つけて。18年12月10日の16歳の頃のツイートで「心折れそう横浜路上聴いてくれる人が神様」これは覚えてます?

「もちろん覚えてます。俺は小心者なんで、路上ライブはミュージシャン仲間としかしたことがなかったんですけど、初めて1人でやったんですよ」

――どこで演奏しましたか?

「横浜駅の前でしたね。緊張しちゃってちゃんと歌えなかったし、結構人通りも多いのに誰も立ち止まってくれなくて。ようやく1人か2人立ち止まって聞いてくれたんですが、もう心が折れちゃって(笑)。途中で演奏を止めて帰ろうかなと思ってたら、奥の方で聞いてくれていた女性が近付いてきて『なんで止めちゃったの? 恥ずかしいからこっそり奥で聞いてたよ』って声を掛けてくれて。あの時は“この人神様だー!”って(笑)。でも、俺の歌に興味の無い人たちを振り向かせるって、難しいんだなって実感しましたね。それから2回ぐらい路上ライブをやりましたが、それっきりで、そのあとは地元のライブハウスで仲間と一緒にライブをやってました」

――そしてもう1つ。19年4月22日にシンガー仲間の松本千夏さんの投稿をリツイートしていて。瑛人さんがマイクを持って泣いているサムネイル(写真)が貼られていましたよね?

「ああ、ありました(笑)。それは『Jersey Eight(ジャージーエイト)』っていう自分のイベントを初めて開催できて泣いたんです。それまでは、誰かのライブに呼ばれたり、出させてもらったりしていたんですけど、それは自分の勉強のためだったんで友だちに声を掛けてこなかったんですよ。それでやっと自分が主催ライブが出来ることになって、みんなに声を掛けたら、思いのほかすごくたくさんの人が来てくれて。めちゃくちゃうれしかったですね。歌うことが楽しくって“俺はこれがしたかったんだ!”って思ったらつい涙が出てしまいました」

――ここで「香水」を初披露したんですね?

「そうなんです。このイベントで『香水』をリリースしたんです」

――大ヒットする1年前の出来事ですよね。でも、この18年と19年の投稿が瑛人というシンガーソングライターをすごく象徴しているなと思いました。

「うれしいです。ありがとうございます」

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