山本耕史、人生を変えた妻との運命的な出会い「自分が変わらなきゃと思わせてくれた」

映画やドラマ、舞台など第一線で長年にわたり活躍を続ける山本耕史。9月8日からディズニープラスで配信される名作「ピノキオ」の実写映画では、物語のカギを握る「ジミニー・クリケット」の日本語吹き替えを担当する。愛されキャラのコオロギという一風変わった役どころとなるが、どのような思いで臨んだのか。また、“家族愛”もテーマである同作だが山本が抱く家族への思いとは――。

インタビューで“家族愛”を語った山本耕史【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューで“家族愛”を語った山本耕史【写真:ENCOUNT編集部】

45年間で実現して1番うれしかった夢は「結婚」

 映画やドラマ、舞台など第一線で長年にわたり活躍を続ける山本耕史。9月8日からディズニープラスで配信される名作「ピノキオ」の実写映画では、物語のカギを握る「ジミニー・クリケット」の日本語吹き替えを担当する。愛されキャラのコオロギという一風変わった役どころとなるが、どのような思いで臨んだのか。また、“家族愛”もテーマである同作だが山本が抱く家族への思いとは――。(取材・文=中村彰洋)

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 10歳で舞台デビューを果たすなど物心ついたときから芸能界の第一戦で活躍し続けてきた山本。45歳を迎えベテランの域に突入しているが、今回の大役はオーディションでつかみとった。

「以前にもディズニーさんの作品に参加させていただいたことがありますが、毎回きっちりとオーディションをされるので、『受かるのかな?』という気持ちはあります。経験を積んでいく中で、オファーをいただいてやることはあっても、オーディションを受けるということが少なくなっていました。そこに自分が参加できたということはすごいうれしいです」

 ジミニーはピノキオの“良心”として、ピノキオにアドバイスを送り、正しい方向へと導きながら、物語の進行を手伝う重要な役どころだ。

「ジミニーの特徴的な会話の運び方とかワードの選び方というのが、もちろん日本語に翻訳しているので、いろんな試行錯誤をして、その言葉にはなったんだろうけど、すごい古めかしい言葉を使うことによって逆にダイレクトに伝わるんです。情報量が少ない時代にできたお話なので、シンプルで、ときに堅い言葉を使ってみたりと教訓みたいなものがガンガン刺さりましたね。ピノキオに説明する“説教くさい”役なのに“説教くさくない”。キャラクターが持つ風貌だったり、振り幅があって、それがジミニー・クリケットの特徴であって、人の心になんとなく“スススッ”と入ってくる言葉を発する……人柄じゃなくて虫柄ですよね(笑)」

 シンプルな物語の中にたくさんの“人生の教訓”が詰まった「ピノキオ」。幼少期に見たときに抱いた感情と大人になり、さまざまな経験を積んでから見たときに感じるそれとは異なる。

「子どもの頃は木のピノキオにコオロギという不思議な世界感に引き込まれると思うんです。内容は優しさだったり愛だったり、うそをつくといけないよといった教訓ですよね。だけど、大人になるとその世界観よりも、うそをついたらいけないとか、シンプルなことが大事なんだなと気付かされるんです。大人になればなるほど、いろんな回避方法や知恵が身につく。だけど、子どもってそんなことを考えずに言ったりするじゃないですか。それで褒められたり怒られたりして、子どもなりに判断して育っていくわけです。知恵がない状態から成長していく主人公を見るというのは応援したくなりますよね。『そっちじゃないんだ! それにはだまされちゃダメだぞ!』みたいな。とにかくいい意味でシンプルですね。難しいことがない。大切なシンプルなことがギュッとしている作品ですよね」

プライベートでは2人の子どもを育てるパパ「自分も勉強になります」

 プライベートでは、2015年8月に結婚。現在では2人の子どもを持つパパでもある。子どもたちはディズニー作品の大ファンのようで、もちろん同作も鑑賞するはずだ。「子どもたちに『ピノキオ』を見てもらったときに(自分が出演していることに)気付くかどうかも楽しみですね」と笑った。

 ピノキオでは“良心”や“うそ”がキーワード。山本は、普段から子育てで意識していることについて明かした。

「男の子と女の子がいるんですけど、男の子には女の子には優しくしろって教えてます。女の子には……人をバシバシたたくなとかかな(笑)。自分が男だから、男の子にかっこいいこととかある程度の理想は分かるんだけど、女の子に何を伝えればいいのかが分からないんです。『女の子らしくいろ』というのもちょっとよく分からないんですよね……。かわいいからあんまり叱ることもできません(笑)。でも聞かれたことには答えるようにしていますね。突拍子もないことも聞いてきたりされますけどね。そういうのがあったときに『なんて答えたらいいんだろうな?』と思うこともたまにありますし、自分も勉強になりますね」

 ピノキオは“本物の人間になりたい”という夢をかなえるため冒険に出るが、物心がついた頃から芸能界で活躍していた山本にとってかなった夢は「結婚」だった。

「家庭を持てたというのが1番ですね。20代から結婚願望はずっとあったんですけど、30代半ばぐらいで『俺ムリかもな』と思うようになったんです。でも、そこからあっという間に2人も子どもができました。これが一番願って、かなって良かったことですね。仕事でも、もちろん俳優業だから『こんな役ができた!』というのもあるんですけど、そういうことよりも家庭を持てたことが大きいですね」

 2人の電撃結婚は大きな話題となったが、山本は奥さまとの“運命的”な出会いについてしみじみと振り返った。

「それまでは、自分の生活スタイルに合う人をずーっと探していたんです。だけど、奥さんと出会って『あ、これ俺に合わせてくれる人なんていないわ。自分が変わんなきゃいけない』と初めて思わせてくれたんです。自分が変わるということが、僕の中で1番貴重な体験でしたね。何かを切り開くときって自分が変わらないといけない。そうすることで、新しい自分が見つかるんです。でも、怖さもあるからみんな安易に自分をバンバン変えようなんて思わないものなんですよね。今振り返ってみると、自分の理想って大したことなかったんだなと思うんですよね」

□山本耕史(やまもと・こうじ)1976年10月31日、東京都出身。87年に10歳の若さで「レ・ミゼラブル」で舞台デビュー。その後、舞台・映画・ドラマなど数々の作品に出演。現在もNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に出演中。2022年9月8日に配信スタートする実写版映画「ピノキオ」の日本語吹き替えではジミニー・クリケットを演じる。

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